
行政書士試験の合格率について、「年度別推移」「他資格との比較」などについて掲載しています。また、「行政書士試験の合格率が低い4つの理由」も解説していますので、ぜひご覧ください。
行政書士試験の合格率【2020年度】
昨年(2020年度)の行政書士試験の合格率は「10.7%」でした。直近5年で見てみると、合格率は比較的に低めといったところです。合格者の平均得点は「195点」で2019年度の「196点」とほぼ同水準となっています。
行政書士試験の合格率が低い理由
行政書士試験の合格率は概ね10%前後とそこまで高くありません。合格点は300点満点中180点(6割)でよいにもかかわらず、合格率が低い理由としては以下のような理由が考えられます。
一般知識の足切りがある
行政書士試験では、「行政書士の業務に関連する一般知識等」という範囲から14問出題されます。この14問中、正解数が5問以下だと足切りで不合格となります。これは、その他の法令科目でいくら高得点を取っていても不合格という厳しい条件です。
しかも、一般知識等の試験範囲は明確に決まっていない為、試験勉強をするにしても対策が立てにくい試験科目で、多くの受験生の「不安の種」として合格への行く手を阻みます。
一般知識等の足切り対策としては、「文章理解」と「個人情報保護法」で得点を稼ぐことです。詳細は以下の記事で解説していますので、よろしければご覧ください。
学習範囲が広い
行政書士試験の試験範囲はそこそこ広く、憲法、民法、行政法、商法・会社法、一般知識等の科目があります。民法と行政法は問題数も多く、ある程度広い範囲で勉強をする必要があります。
法律初学者には少し難しい内容ですが、テキストや条文の読み込みをしっかり行い、繰り返し過去問を解けば十分合格を狙える試験ではあります。
出題形式が多彩
行政書士試験の出題形式は、5肢択一式・多肢選択式・記述式の3タイプがあります。4肢択一式のみの宅建等と比較しても出題形式が多彩と言えます。
特に記述式の問題は応用力や思考力が必要で、択一式にはない勉強方法である程度訓練をしておく必要があります。
勉強不足の受験者も多い
行政書士試験の受験者は、大学に通いながらや仕事をしながら勉強をして受験する人も多くいます。その反面、ある程度の専門的な法律知識が必要な試験で、合格に必要な勉強時間も800時間前後は必要な試験です。
仕事や大学に通いながら上記の勉強時間を確保することは難しく、一定のラインに達しない受験者が多いというのも合格率が低い理由の1つだと考えられます。
ですから、「しっかり勉強した人」だけの合格率だけでみれば、実際はもう少し高い数値になるということです。
行政書士試験の合格率【年度別の推移】
令和2年度~平成元年度の行政書士試験の合格率です。
「過去10年」で合格率が最も高い年は2017年の15.7%です。
「過去10年」で合格率が最も低い年は2011年の8.05%です。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2020年(令和2年) | 41,681人 | 4,470人 | 10.7% |
2019年(令和元年) | 39,821人 | 4,571人 | 11.5% |
2018年(平成30年) | 39,105人 | 4,968人 | 12.7% |
2017年(平成29年) | 40,449人 | 6,360人 | 15.7% |
2016年(平成28年) | 41,053人 | 4,084人 | 9.95% |
2015年(平成27年) | 44,366人 | 5,820人 | 13.12% |
2014年(平成26年) | 48,869人 | 4,043人 | 8.27% |
2013年(平成25年) | 55,436人 | 5,597人 | 10.10% |
2012年(平成24年) | 59,948人 | 5,508人 | 9.19% |
2011年(平成23年) | 66,297人 | 5,337人 | 8.05% |
2010年(平成22年) | 70,586人 | 4,662人 | 6.6% |
2009年(平成21年) | 67,348人 | 6,095人 | 9.1% |
2008年(平成20年) | 63,907人 | 4,133人 | 6.47% |
2007年(平成19年) | 65,157人 | 5,631人 | 8.64% |
2006年(平成18年) | 70,713人 | 3,385人 | 4.79% |
2005年(平成17年) | 74,762人 | 1,961人 | 2.62% |
2004年(平成16年) | 78,683人 | 4,196人 | 5.33% |
2003年(平成15年) | 81,242人 | 2,345人 | 2.89% |
2002年(平成14年) | 67,040人 | 12,894人 | 19.23% |
2001年(平成13年) | 61,065人 | 6,691人 | 10.96% |
2000年(平成12年) | 44,446人 | 3,558人 | 8.01% |
1999年(平成11年) | 34,742人 | 1,489人 | 4.29% |
1998年(平成10年) | 33,408人 | 1,956人 | 5.85% |
1997年(平成9年) | 33,957人 | 2,902人 | 8.55% |
1996年(平成8年) | 36,655人 | 2,240人 | 6.11% |
1995年(平成7年) | 39,438人 | 3,681人 | 9.33% |
1994年(平成6年) | 39,781人 | 1,806人 | 4.54% |
1993年(平成5年) | 35,581人 | 3,434人 | 9.65% |
1992年(平成4年) | 30,446人 | 2,861人 | 9.40% |
1991年(平成3年) | 26,228人 | 3,092人 | 11.79% |
1990年(平成2年) | 22,406人 | 2,480人 | 11.07% |
1989年(平成元年) | 21,167人 | 2,672人 | 12.62% |
行政書士試験の合格率【他資格との比較】
「過去4年分」の行政書士とその他の資格との合格率比較表です。
2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 | |
行政書士 | 10.7% | 11.5% | 12.7% | 15.7% |
宅地建物取引士 | 17.6% | 17.0% | 15.6% | 15.6% |
社会保険労務士 | 6.4% | 6.6% | 6.3% | 6.8% |
司法書士 | 4.12% | 3.6% | 4.3% | 4.1% |
マンション管理士 | 8.0% | 8.2% | 7.9% | 9.0% |
管理業務主任者 | 22.2% | 23.2% | 21.7% | 21.7% |
まとめ
行政書士試験の合格率について色々な情報をご紹介しました。宅建等と比較すると合格率は高くない行政書士試験ですが、とは言え全体の6割の得点で受かる試験です。
各科目を正しい勉強法で勉強すれば合格も十分可能な試験です。焦らずにコツコツ勉強していきましょう。