
行政書士試験と社労士試験の難易度を、「勉強時間」と「合格率」の面から比較しています。また、2つの資格の試験格目や、合格後の仕事内容なども紹介していますので、ぜひ参考にして下さい。
(詳しくは「行政書士の難易度」をご覧ください。)
勉強時間から見る難易度の比較
まず2つの資格取得までの勉強時間で比較してみます。
行政書士 | 社会保険労務士 | |
①独学(法律知識なし) | 800~1000時間 | 800~1000時間 |
②独学(法律知識多少あり) | 600~700時間 | 700~800時間 |
③通学(法律知識なし) | 600~700時間 | 700~800時間 |
④通学(法律知識多少あり) | 500時間程度 | 500~600時間 |
【解説】
①の法律を勉強した経験がなく、かつ、独学で勉強する場合は両試験とも同程度の勉強時間が必要です。
②~③については、若干社労士の方が勉強時間の確保が必要といった程度です。
合格率から見る難易度の比較
次に2つの試験の合格率を比較してみます。
行政書士 | 社会保険労務士 | |
令和2年度 | 10.7% | 6.4% |
令和元年度 | 11.5% | 6.6% |
平成30年度 | 12.7% | 6.3% |
平成29年度 | 15.7% | 6.8% |
平成28年度 | 9.95% | 4.4% |
平成27年度 | 13.12% | 2.6% |
平成26年度 | 8.27% | 9.3% |
平成25年度 | 10.10% | 5.4% |
平成24年度 | 9.19% | 7.0% |
平成23年度 | 8.05% | 7.2% |
【分析】
行政書士試験で合格率が最も高い年は平成29年の15.7%、最も低い年は平成23年度の8.05%です。
社労士試験で合格率が最も高い年は平成26年度の9.3%、最も低い年は平成27年度の2.6%です。
社会保険労務士の試験の合格率が低い理由には以下のような理由があります。
①各試験科目に合格点が設定されており、1科目でも合格点に達していないと不合格になる(全科目を満遍なく勉強する必要がある)
②行政書士試験に比べると、本気で勉強して受験する人の割合が低い。
社労士試験は、企業の総務部や人事部の担当者が会社の指示で受験をする場合などもあります。
この中の何割かの人があまり勉強することなく受験するのも合格率が低い原因です。
比べて行政書士の資格取得を支持する企業はあまりありません。
難易度比較の結論
2つの試験の難易度ですが、結論から言うと難易度は同程度です(人によっては若干、社労士試験の方が難しいという程度です。)
ただし、社労士試験の勉強の方が「とっつきにくい」という事はあるかもしれません。その理由は試験科目にあります。
行政書士試験の試験科目の内、憲法・民法・商法は、法学部出身の方などは馴染みがあり、宅建の勉強をした方などは民法を多少勉強しています。
(詳しくは「行政書士と宅建の難易度を比較」をご覧ください。)
それに比べて社労士試験の試験科目は、労働法関連や健康保険法・厚生年金保険法といった、しっかり勉強する機会の少ない法律を勉強する必要があります。
このような理由から、人によっては社労士試験の方が馴染みのない法律を勉強するという印象を受けるかもしれません。
試験科目の比較
上記で試験科目に触れましたので、2つの試験の試験科目も紹介しておきます。
【行政書士試験】
試験科目 | 択一式 | 選択式 | 記述式 |
憲法・基礎法学 | 7問 | 1問 | 無 |
行政法 | 19問 | 2問 | 1問 |
民法 | 9問 | 無 | 2問 |
商法・会社法 | 5問 | 無 | 無 |
一般知識 | 14問 | 無 | 無 |
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【社労士試験】
試験科目 | 択一式 | 選択式 |
労働基準法及び労働安全衛生法 | 10問 | 1問 |
労働者災害補償保険法 | 10問 | 1問 |
雇用保険法 | 10問 | 1問 |
①労務管理その他の労働に関する一般常識 | ①②併せて10問 | 1問 |
②社会保険に関する一般常識 | ①②併せて10問 | 1問 |
健康保険法 | 10問 | 1問 |
厚生年金保険法 | 10問 | 1問 |
国民年金法 | 10問 | 1問 |
行政書士の講座解説
行政書士試験の勉強を独学ではなく、資格スクールで検討中の方向けの当サイト解説記事です。よろしければご活用ください。
業務内容の比較
最後に、試験合格後のそれぞれの仕事内容をご紹介します。
【行政書士の仕事】
行政書士のできる業務は幅広く、大きく分けて以下のような仕事ができます。
- 営業の許認可(飲食店や建設業、その他事業を始める前の許可をとる仕事)
- 外国人のビザ関係(留学生・日本への永住、その他、外国人が日本に在留する際のビザ関係の仕事)
- 法人設立(株式会社などの法人を設立する仕事。※登記申請は除く)
- 自動車関係(車庫証明手続き、各種車両通行許可をとる仕事など)
- 相続・遺言(遺産分割協議書の作成など)
- 知的財産業務(著作権の登録、特許・商標などの権利変動に伴う特許庁への手続き)
行政書士のできる仕事はまだまだ多岐に渡ります。
【社会保険労務士の仕事】
社会保険労務士の仕事は以下のようなものがあります。
- 企業の離職票の発行や社会保険の資格取得・喪失届、助成金の申請など
- 企業の雇用契約書や出勤簿、賃金台帳などの作成など
- 労務や年金に関する相談業務や、人事労務関係のコンサルティング業務など
まとめ
行政書士試験と社会保険労務士試験の難易度を比較してきましたが、いかがでしたでしょうか。
2つの資格は難易度も同じくらいと言われており、行政書士資格をとった後、社労士資格もとる人は多くいます。実際私の周りにも、行政書士と社労士の両方の資格を取得して開業している先生が多くいます。
実際の業務でも、行政書士と社労士は密接に関係してくる場面が多々あります。余裕のある方は、ぜひダブルライセンスを目指して下さい!